東京一極集中という言葉が頻繁に話題にでる令和。若者が都心に集まることが当たり前となってきている中、『美しい日本を保ちたい』と強く願うZ世代がいた。香川から東京に上京してきた彼が、戦略的に描く地方創生へのキャリアとは。▽目次1.地方創生へのキャリア。20代で見据えた「成し遂げなければならないこと」2.大きな夢だからこそ、長期的に考える戦略的第一歩。3.美しい日本を保つために、泥臭い努力を惜しまない。4.活性化だけでは意味がない。観光地が儲からないリアルを解き明かす。5.少しでいいから共に歩みたい。Z世代への依頼。公開日:2023/09/28読了目安:7分インタビュアー:中嶋玲於編集者:堀川翔地方創生へのキャリア。20代で見据えた「成し遂げなければならないこと」【東貴久(あずまたかひさ)】1998年生まれ。香川県高松市出身。慶應義塾大学卒業後、住生活に携わる事業者の支援を得意とするコンサルティング会社に新卒入社。全国各地の住宅不動産会社を転々として経験を重ねる。現在は株式会社リクルートにて、注文住宅領域におけるクライアントの業績貢献に励む。社外ではメディア開発にも従事。「周囲に何かを惜しみなく与えられる人」を目指し、地方創生の展望を抱く。中嶋)将来、やるべきことは決まってますか?はい、決まってます。それが地方創生。地方創生というように一括りにすると話が大きすぎるかもしれませんが、地方を救うまではできないとしても、年々苦しくなる地方の状況を変えたい!微力であったとしても抗い続けたい!と思っています。「社会に価値を生み出したい」「自分の持ちうる資質は、多かれ少なかれ社会に還元していきたい」という想いから、最終的には起業を見据えています。今の仕事では、社会人1年目の5月から、実際に起業している経営者の方と顔を合わせて面談ができます。年間100人から200人の社長に面談させてもらえるという点で、本当に学びが多いんです。会社の規模もそこまで大きくないので、手を挙げれば任せてもらえることも多い。「家で寝るよりも出張先でホテル泊になることの方が多くなる、その代わりに、周りの3倍のスピードで成長出来る」と選考時に断言してもらい、痺れるように今の会社への入社を決めました。自分は将来地方創生をやらなければという想いがあります。民間からの地方創生というのを考えた際に、地場産業である住宅不動産業界は根幹となるような位置づけの業界だと思っています。地方創生をやるなら日本中の市区町村のことは最低限知っておきたい。実際に1年目から北は北海道、南は鹿児島まで訪問に行ったんですが、そういった形で現地を見て地方経営者の話を聞くことで、地域のリアルな実態をしっかり捉えていきたいなっていう思惑もあります。大きな夢だからこそ、長期的に考える戦略的第一歩。中嶋)就活の時は今の会社以外は見ていなかったんですか?自分の就活の軸は、「若手に裁量権があること」「起業や独立に繋がる経験が得られること」「地方創生への繋がりを見出せる業界であること」の3つでした。この中では地方創生という軸が変わり種だと思います。例えば地方の特産品をいかにPRして世界に打ち出すか、そういったことにも興味があって、広告業界なども他に見てました。最終的には今の会社に惚れ込み、すべて選考辞退して1本に絞ったという形です。ー就活の軸がしっかり意思決定に繋がっている、、すごい、、中嶋)さきほど起業したいという話がありましたが、これだけ多くの経験を今していたら、起業は近い将来を考えているんですか?直近で考えているわけではないです。まだ今は実力をつける期間だと認識しています。 でも、30代40代で本当に1番仕事の油が乗ってくる時期に、それこそ今一緒にプロジェクトを進めている堀川とも一緒に仕事をやりたいし、30代以降でも若い頃と変わらないテンションで事業を回していくことは決めています。20代のキャリアとしては、今は課せられたミッションを本気で達成したいです。その後、20代後半にそれこそ一度起業して経験を積むっていうのも良いと思いますし、一方で今の時代だからこそサラリーマンとして働き、成長しつつも生活資金を担保した状態で副業や有志で出来ることの幅を増やしておくのも魅力的だと思っています。生活資金がかかった状態では絶対にできないような馬鹿げた挑戦や学びの期間としていきます。美しい日本を保つために、泥臭い努力を惜しまない。中嶋)なぜ地方創生をやりたいと思ったのですか?僕は香川県高松市で生まれ育ちました。そこで少子高齢化の進行を目の当たりにして生きてきたんです。日本の人口が10年で1100万人、1日約3000人ほど減少する中で、少子高齢化も深刻で人手が足りない地方では、田や畑、美しい公園や施設もどんどん荒れていき、誇るべき日本の景観が損なわれてしまうと予測されています。それって本当に寂しいことだと思っています。日本は美しい国だと海外からも評価されていますが、そんな日本を美しいまま保ちたいという想いがあります。地方が廃れるのであれば、首都圏に皆が住み替えれば問題ないという考えもあると思います。ただ、東京だけに集中することは、日本の47道府県の美しい景観を失うことを意味するので、やはり大切な日本の資産を次の世代に引き継いでいきたいです。もちろん、景観の話だけでなく、地方の人々の生活を豊かにしていくためにも地方創生は重要だと思っています。中嶋)この想いに向け、今やってることはありますか?まずは地域の実情、リアルをとにかく知るようにしています。有難いことに本業で住宅不動産を地方で扱っている社長と話せる機会が多く、色々な話を社長に聞いています。エリアの都市開発、人の出入り、産業の状況、その他課題はどんなことですか?など。他には、地方創生の本を読むことで情報を常にキャッチアップするようにしていて、今もちょうど3冊ぐらい読んでおり、将来実現したい構想を練っている段階です。 活性化だけでは意味がない。観光地が儲からないリアルを解き明かす。中嶋)具体的に思い描いている、やりたいことはどんなことですか?『地方経済循環』という考え方があります。今観光として成功してるにも関わらず、その観光地が儲からない、その観光地に住んでる人にお金が落ちないこと。先進企業や工業地帯を作ってるにも関わらず、地元の人が儲からない理由というのは、結局その地域で稼いだお金が地域の人たちに還元されてない、分配されてないからなんです。そこにはものすごく難しい問題が絡んでいます。例えば、出資元が地域外であるケース。観光地は豊かであったとしても出資元が海外や東京であれば、その事業利益は出資した側に流れてしまう。観光地として繁盛しているように見えるが、地域の稼ぎが地元の方々の所得に繋がっていないケースというのは全国各地で多々存在します。また、工業でも家庭でも、最も海外に資本が流れてしまうのがエネルギー関係の消費。日本は資源を海外に頼り切りです。そのため、私たちが家庭や職場で使用した光熱費は、その一部が電力会社職員の給与に流れることを除いて、殆どが海外に流出してしまうお金となります。省エネや再生可能エネルギー分野というのは、環境にとって良いというだけでなく、日本国内や地域の経済を豊かにするという点でも重要。どんなところから金と人と資本を集めてきているかによって、同じ収益でもどれだけ地域が潤うかは大きく変わってきます。だから自分は、地域100パーセント出資、さらに地域の人を採用して、しっかりとその稼いだお金も地域の人たちに還元できるようなサービスを展開していきたいと考えています。さらに他の会社の事業や商品に対しても、本当に地域の中でお金を回して、地域の人たちのためになっているものに関してはブランド認定をして、完全なる地方経済循環プロジェクトというのを推進していきたいです。中嶋)地方創生と自分の得意なことはどのように掛け合わせを考えていますか?そうですね、新しいことを学習することや自主的な勉強が全く苦にならない点は自分の強みです。他には面談や営業で培った初対面でのコミュニケーション、組織・チームにおいては後輩の指導、サポートや引き上げだと思います。地方創生を進めるにあたって、行政や政治で創生を実現していくという方向性も考えられますが、自分はビジネスサイドで主導権を持って進めていく方が向いていると考えています。ーなるほど、しっかり自分の能力と将来を繋げているんですね..少しでいいから共に歩みたい。Z世代への依頼。中嶋)最後に、未来への宣言、インタビューを見てくれている人へメッセージをお願いします!僕は将来、紳士になりたいです!(笑)香川県高松市の地に生まれたものとして、故郷に貢献するという紳士。自分の利益よりも、 周りのことや自分の生まれ育った地域のことを考え、周囲の人たちに何かを惜しみなく与えられる人になります。サッとハンカチを差し出すジェントルマンのように、地方にも救いの手を差し伸べられる人になりたいです。地方創生は決して簡単な問題ではないですが、自分たちの世代がしっかり向き合わなければならないことの一つです。地域に何か貢献したいと考えている方がいれば、どんなに小さなことからでも一緒に取り組めればと思っています。地域のリアルを知っていくこと、過疎が深刻化する将来から目を背けないこと、少し故郷に想いを巡らせてみること、それだけでも地方創生の第一歩です。皆の小さな意識や行動が、地域の力になります。Z世代が挑む地方創生へのキャリア、いかがだったでしょうか?最後のコメントにもあった通り、僕たちSOZOも地域に貢献したい方と一緒に様々なことに取り組めればと考えています。新たな挑戦を共に創造してくれる方、SOZOと一緒に活動してくれる方がいらっしゃいましたらお気軽にご連絡ください。